「名著の森」シリーズとは
流行は移ろうもの。
今年流行した本は、来年には誰も読んでいないかもしれない。
しかし、時代が変わっても読み継がれる本もある。
この「名著の森」のコーナーでは、私「なむ」が、「この本は一生本棚に置いておくだろう」と考えている「名著」を紹介していきます。
「名著の森」一冊目
一冊目は、こちら。
ドラッカーの『経営者の条件』です。
本書がおすすめの方はこちら!
- 「成果が出る『生産的な仕事』に時間を使いたい!」という人
- 「人に使われるより、自分がリーダーになりたい!」という人
- 「会社でずば抜けた成果を出したい!」という人
「経営者の」と言っているけど、
実は「経営者以外にも」かなり役立ちます!
ドラッカー先生は言わずと知れた著名な経営学者・コンサルタントです。
彼が本書で伝えたメッセージの背景には、
「多くの人が『知識労働』に従事するようになったのに、知識労働で成果を上げる方法を皆わかっていない」
という課題感がありました。
知識労働者の最たる例として「経営者」という表現を使っていますが、
ドラッカー先生曰く、「組織のために重要な意思決定を行い、知識労働によって成果を上げる人」は、地位や役職に関わらずすべて「エグゼクティブ(経営者)」であるということです。
何かしらの知識労働で成果を上げようとする全ての人が読むべき書籍ということになりますね。
ドラッカーさんはこの本の中でどんなことを言っているか。
ポイントは以下の5つです。
- 「時間」を計り、管理せよ
- 「貢献」を第一に考えよ
- 「強み」をもとに設計せよ
- 「劣後順位」を決定せよ
- 「意見の不一致」を重視して意思決定せよ
順番に見ていきましょう。
「時間」を計り、管理せよ
自分が何にどれだけ時間を使っているか。
それを感覚で正しく把握できる人は一人もいない、とドラッカー先生は言います。
そして、自分の本当にやるべき仕事に十分な時間を持っている人もほとんどいない、とも。
まずは、時間を感覚ではなく、リアルタイムで正確に計ってみること。
そして、何にどれだけ時間を使っているかを把握すること。
これが全ての人にとってのスタートラインになります。
このスタートラインに立って初めて、時間というもっとも貴重な資産を活用して成果を上げるための準備が整います。
時間の使い方を感覚的にではなく、「計って」振り返ること。
貢献を第一に考えよ
あなたは何のために仕事をしているのでしょうか。
その会議で何を話し合っていたのでしょうか。
会社で昇進することが目的になってしまっていませんか?
同僚や部下がいかに気持ちよく働いてくれるか、気を害さないかばかり考えていませんか?
どんな組織においても、気づくと皆の注意は組織の「内側」ばかりに向いていく。そうドラッカー先生は言います。
しかし、本来、組織の存在意義は顧客という「外側」への「貢献」にあったはずです。
組織の存在意義は、組織の内部ではなく、外部によって決められます。
外への「貢献」にまず目を向けること。
そのために、外を見て、外に触れて、情報を得て、考えること。
そうして、外を向くことで初めて我々は成果を上げることができます。
組織の内ではなく、外への「貢献」を第一に考えること。
「強み」をもとに設計せよ
あなたの強みは何ですか?
弱みは何ですか?
私の強みは、「考えること」「考えを整理し伝えること」だと思っています。
一方で、「人の輪をつくること」「仲良くなること」は苦手です。
そんな私が、「色んな人をかき集めて交流会のイベントを主催する幹事」をするとしたらどうなるでしょうか。
白けたイベントになること間違いなしです。
代わりに、もっと「人たらし」な人を幹事に据えて、私は右腕として運営の補佐をすれば、きっとそのイベントは成功することでしょう。
弱みは頭痛のタネにしかならない、とドラッガー先生は言います。
あらゆる仕事は「強み」にもとづいて設計されるべきなのです。
「弱み」を伸ばそうとするより、「強み」をもとに仕事を組み立てること
「劣後順位」を決定せよ
「優先順位」という言葉はよく聞きますね。
「劣後順位」というのはその逆で、要は「やらなくてよいことランキング」ということです。
人は「あれもこれも」と考えがちです。
「優先順位を決める」というと聞こえは良いですが、順位を決めたところで、これまでやってきたことはずるずると続けてしまうのが人間の性でしょう。
だから、決めるべきは「劣後順位」です。
今やっていることの中で「やらなくてよいことランキング」を決めましょう。
「優先順位」よりも、「劣後順位=やらなくてよいことランキング」を決める!
「意見の不一致」を重視して意思決定せよ
「異議なし」「異議なし」「異議なし」
と全員賛成で決まる会議。
皆さんも経験があるのではないでしょうか。
皆と同じ意見だと安心しますし、全員賛成ならば間違いない。
そう思うのが人間でしょう。
しかし、ドラッカー先生は「意見の不一致を重視せよ」と言います。
どういうことか。
そもそも、全員が両手を上げて賛成するようなことは議題になっていないはずです。
メリットとデメリットがせめぎ合っているからこそ、意思決定が必要になる。
それなのに、意見が全員一致するというのは、明らかに検討が足りていない証拠と言えるわけです。
意見の不一致が起きるくらい、各人が思考を通して意見を持った状態で集まり、本当の意思決定をしましょう。
「全員一致」は思考不足の証拠。「意見の不一致」を経た意思決定を目指せ。
まとめ
以上、ドラッカー『経営者の条件』のご紹介でした。
あらためて、要点をまとめます。
- 「時間」を計り、管理せよ
- 「貢献」を第一に考えよ
- 「強み」をもとに設計せよ
- 「劣後順位」を決定せよ
- 「意見の不一致」を重視して意思決定せよ
紹介してきてわかる通り、どれも当たり前のようで、「人間の性に反する」ものが多かったと思います。
つまり、どれも意識して習慣化しないと身につかないものであるということです。
よく、「学校では社会に出てから必要なことは教えてもらえない」と言いますね。
しかし、こうして見てみると、社会人として本当に必要なものは「習慣として身につけていくしかない」ということがわかりますね。
少し教えたところで身につくものではないし、座学ではなく実践の中で得ていくしかないものです。
逆に言えば、社会人のあなたにとっては、毎日毎日の仕事が、一つずつ習慣として身につけるための実践のチャンスです。
その先には、暗い日本経済に希望の光を灯せるような、卓越した経営者としての成果が待っているかもしれません。
そう考えると、社会人って悪くないですよね。
この一冊は、仕事をしていく人が依って立つべきバイブルとして、記念すべき第一回に紹介をさせていただきました。
ぜひ皆さんも手に取ってみてください。
また、次回の名著の森シリーズもお楽しみに。
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